ロボットを特許にするには(2/2)

前回の続きです。楽譜を撮影してエレクトーン(登録商標)を演奏するロポットです。前回は部分の発明を一本釣りして、請求項の構成を考えました。今回は消去法による別のアプローチです。

消去法による発明発掘とは

全体の発明品であるロボットから、独立して実施可能な最小単位の発明を見つけます。
そのため、発明品の中から必要性の低いものをピックアップします。例えば・・・

(1)人型ロボットだからカメラ(撮影部)で眼を代用しているが、その必要はあるだろうか?
⇒楽譜の静止画像があればよいので、その取得元や取得手段を特定することは不要。

(2)人型ロボットだから楽器を演奏しているが(機械制御部)、その必要はあるだろうか?
⇒演奏データをMIDIやMP3などの音楽データに変換すれば、ロボットの腕機構は不要になる。

そう考えると、撮影部および機械制御部は不要です。
この必要性の低い部分を全体から省くことで、独立して実施可能な最小単位の発明が発掘されます。

消去後の請求項1

必要性の低い部分を除くと、請求項1はこうなります。

【請求項1】
入力された画像データから楽譜を認識する認識部と、
前記認識された楽譜を演奏データに変換する処理部と、
前記演奏データを音に変換する音変換部と
を備えた処理装置。

これなら、楽譜(画像)で音楽を再生する装置全般を抑えることができます。

下位の請求項はどうつなげるか

冒頭の動画をご覧ください。ロポットが実際に演奏しています。これを見て気がつくことは何でしょう。
演奏を、右腕の制御と、左腕の制御で分担しているところ。更に細かくは、両腕の10本指の制御で分担しているところ。ペダルもありますから足の制御もです。
この部分には苦労があり工夫があったでしょう。工夫には発明が隠れています。発明者から傾聴してしっかりクレームアップします。
その上で、眼として撮影部を付加したり、楽器演奏する制御機構をつけたりすれば、最終形のロボットまでを漏れなく抑えることができます。

小括

このような特許戦略のアドバイスが欲しい方は、はじめ国際特許事務所までお気軽にご連絡ください。親身に検討いたします。

(動画の引用元:https://youtu.be/ZHMQuo_DsNU)

ロボットを特許にするには(1/2)


写真日記からのスピンオフです。楽譜を撮影してエレクトーン(登録商標)を演奏するロボットです。

そのまま請求項1にすると

このロボットをそのまま請求項1にすると、こんな感じになります。

【請求項1】
被写体を撮影して画像データを生成する撮影部と、
前記撮影部で撮影された画像データから楽譜を認識する認識部と、
前記認識された楽譜を演奏データに変換する処理部と、
前記演奏データに従って楽器を演奏する機械制御部と
を備えたロポット。

大まかに全体把握した請求項1です。各部の詳細な技術事項は、下位請求項で順番に抑えることになります。しかし、これではもったいないです。

部分の発明とは

例えば、上記請求項1には【前記演奏データに従って楽器を演奏する機械制御部】があります。この機械制御部だけで、何かできないでしょうか?

・・・【楽器を演奏する義手】ができます。
この義手をつければ、腕を失った方も楽器を演奏できます。

つまり、発明品はロポットでしたが、ロボット全体を発明と捉えるのは勘違いです。
ロポットは、独立して実施可能な部分々々の発明(ここでは機械制御部など)の集まりです。

全体把握の請求項1の問題点

請求項1は、『機械制御部』の他に、『撮影部』『認識部』『処理部』が必須要件です。そのうち、どれか一つ欠けても、請求項1の範囲から逃れます。
【楽器を演奏する義手】は、『撮影部』『認識部』『処理部』を欠く上、かつ請求項1のロボットを間接侵害しません。
つまり、請求項1では、独立して実施可能な機械制御部(義手など)の発明は抑えられないのです。

部分の発明に注目するなら

楽器を演奏する機械制御部には、開発の苦労(開発費も含め)があったでしょう。その技術をこのロポットのみに使うのはもったいないです。
もしもその技術に将来性があるなら、機械制御部を請求項1にしてみましょう。例えばこんな感じです。

【請求項1】
楽器を機械操作して音を発生させる駆動部と、
前記楽器の演奏データを取得する取得部と、
前記演奏データに基づいて前記駆動部の制御データを生成する処理部と
前記制御データに基づいて前記駆動部を制御する制御部と
を備えた機械演奏装置

この請求項1を出発点として、請求項2以降では目を代替する撮影部を外的付加し、脳を代替する認識部・処理部を付加します。そうやってロポット全体の最終的な請求項を作ります。
こうしてこそ取りこぼしが少なく、開発者の苦労が報われます。また、楽器演奏に限らず、エクスパートな技能(料理人の包丁さばき、剣道の達人の腕の動きなど)を可能にする機械装置で出願してもいいですね。

このような特許戦略のアドバイスが欲しい方は、はじめ国際特許事務所までお気軽にご連絡ください。親身に検討いたします。

・・・実は、このロポットまだ他にも部分の発明があります。次回に続きます。

懐古カメラ

古いカメラを昔懐かしい青焼風に・・
青焼といっても食べ物ではありません。複写機のご先祖(ジアゾ式複写)ですね。
現像液をくぐると潜像が青のモノトーンに発色するものです。
その独特の階調と発色に似るよう、モノクロ⇒HDR⇒調色の画像処理をしています。
ポイントは黒が青色に近づくよう調色したところですね。

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蒐集カメラその1

私の蒐集カメラその1です。
カメラ本体には押し革でRifaxと銘記されています。
あまり聞かないメーカーです。以前、このメーカーが写真工業(月刊誌)に取り上げられたことがあります。
昔のドイツのメーカーでした。
その雑誌に載っていた同型のカメラはライカ製のエルマーレンズ。このカメラとはレンズが違います。
Rifaxはレンズ分業のカメラメーカーで、レンズ違いの同型カメラをいくつか製造していたのでしょう。

このカメラは蛇腹を折り畳んでカメラ本体に収納します。
日本ではスプリングカメラといいます。
折り畳むと、手のひら程度の携帯可能なサイズになります。

このサイズでも、銀塩フィルムは66判/645判を使うことから中判カメラの部類に入ります。
66判/645判といえば、写真屋さん(写真スタジオ)のカメラが浮かびますから、これは小さいです。
こちらが、このカメラで撮影したポジフィルム。

色が鮮やかで綺麗なのは、白黒フィルムの時代のカメラとしては意外かもしれません。
その理由の一つは、当時のカメラはレンズの構成枚数が3~4枚と少なかった点にあります。
こちらが、このカメラのレンズ正面です。

シャッターはCOMPUR製で定番ですね。
レンズは、Xenar7.5cmf3.5
シュナイダー・クロイツナッハが作ったテッサータイプのレンズになります。
テッサータイプは、3群4枚のレンズ構成。
反射防止コーティングなどの高度な現代技術がない時代ですが、このレンズ枚数ならフレアの影響が少ない。フレアが少なければ、結像の色は濃くなります。

テッサータイプのレンズは、本家であるカール・ツァイス社が1902年に開発し、その発明者個人(技術者)が特許をとっています。
その方は、テッサーの特許で大金持ちになったとききます。職務発明がなかった時代ですね。
テッサーレンズは、鷹の目といわれるぐらい鮮鋭なレンズで、沢山のレンズ会社がその後を追いかけたようです。
シュナイダー社のXenarレンズもその一つですね。

シュナイダー社の面白いところは、製造したレンズの番号を創業当時からちゃんと管理している点です。
シュナイダー社は、ネットでその情報を公開しています。
ですから、私のカメラ(正確にはレンズ)も、そのレンズの製造番号でいつ製造されたか分かります。
調べてみると、1936年頃になります。

1936年のドイツ製カメラとすると、時代はナチス政権によるベルリンオリンピックの頃。
このカメラの昔の持ち主は、そんな動乱の時代の光を写していたのでしょう。

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未確認飛行物体!?

“はじめ国際特許事務所”に飾る照明具です。
SF的なデザインでいいですね。

この照明具には秘密があります。
下の紐を引っ張ると・・・

球体に変形するのでした。
スターウォーズのデス・スターを思わせる風情です。
“はじめ国際特許事務所”の遊び部分です。

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