抵抗の記号について


(三谷政昭著「信号解析のための数学」より引用)

この技術書の著者の方針も気持ちもよく分かります。そもそも回路図の長四角は、複素数成分をもつ負荷を意味していました。それを実数のみの(理想)抵抗の記号にしてしまうのは何だかなです。

この抵抗記号の変更があったとき、技術の現場はざわめき、技術者の多くが【抵抗!?】を感じたことを覚えています。トラ技(トランジスタ技術)のように今も頑なにギザギザ抵抗を使っている書籍は多いです。抵抗を長四角にしたら長年の読者から回路図が読めないと文句が来そうです。回路シュミレータのSPICEでも、抵抗記号としてギザギザが今も使えます。

そんなわけで、審査官でも、よほどのこと(審査基準室がルールを万一作るなど)がない限り、ギザギザ抵抗に36条(記載不備の拒絶理由)を通知する人はいないでしょう。なぜなら、ギザギザ抵抗がこれだけ使われていては、実施不可能や不明確の立証が難しいからです。これは元審査官の個人的意見です。

とは言いつつも、長四角の抵抗記号が国際規格のIEC 60617に基づくものである以上、外国出願も考慮すると長四角にしておくことも無難でしょうね。