いきなり!ステーキを特許にするには

いきなり!ステーキの特許が話題になっています。
その特許査定後に訂正された請求項1は・・

【請求項1】
お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え、上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと,上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする、ステーキの提供システム。

この特許発明(!)は異議申し立てを経て一旦拒絶されましたが、知財高裁においてその判断が取り消され、再び異議申し立てに対する判断がやり直されて特許が維持されました。「計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールを、お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとする」旨の内容になります。軽量した肉の量を他の肉と区別する印しとするなら、スーバーの肉売り場では当たり前です。しかし、そこにテーブル番号を加えて他のお客様の肉と区別するのは、いきなりステーキの業態ゆえなんでしょう。

ここでは、おまけで・・別の観点で考えてみます。

普通のステーキ店は、生肉100グラム単位のカット注文が一般的ですね。
それに対し、いきなり!ステーキは、生肉1グラム単位のカット注文が可能です。
生肉1グラム単位で料金が決まります。


(https://www.ryutsuu.biz/commodity/j120619.htmlより引用)

これなら、お客様は、思いついた記念日をグラム数にして注文できますね。
お客様の個性を活かす商売というのは、話題性もあって商売の強みです。
そう考えると・・この【1グラム単位の生肉のカット注文】を特許で守るのは、有意義ですね。

ここからが、出願代理人の調理(腕の見せどころ)になります。

ハンバーグなら1グラム単位の計量は簡単です。不足分は挽肉ペーストを付け足し、過剰分は挽肉ペーストを引きちぎればできます。
しかし、【肉ブロックから1グラム単位で肉をいきなり!切り分ける】のは、技術上の課題(困難性)がありそうですね。不足分は付け足せないし、過剰分を切り落せば無駄になります。肉切りの名人技が必要です。

そこで、この課題を解決している先行技術を調べます。
先行技術が発見できないなら基本発明の可能性があります。公知公用でない範囲で、思いついた技術を広い請求項にして出願しましょう。
また、先行技術が有っても、その先行技術にさらに課題があれば、課題解決による発明の可能性があります。

また、肉の質や焼き具合(レア・ミディアム)によって、調理後のステーキの重さは変化します。
焼き上がり後の重さ1グラム単位を推測して生肉を切り分ける技術としたら、さらに困難な課題になります。
特許になりやすいです。また、焼き上がりの重量で注文できるなら、お客様の御腹が納得する仕組みですから、ライバル社を一段と凌駕できますね。

先の出願は、商売そのものを”いきなり!請求項1”にしていますね。
でもここは、技術の汎用性を考慮して、請求項1は【肉ブロックから所定単位で肉を切り分ける】を解決する発明から入りましょう。
技術の使い道が広いなら、【肉】という限定も外しましょう。
そして、下位の請求項で、請求項1を使用した商売そのものを抑えるとよいでしょう。

当事務所にご依頼いだいた場合は、このような観点から発明発掘を常に有意義にご提案いたします。
(ので、ご相談依頼をお気軽に。)

はじめ国際特許事務所(東京)
代表弁理士 榎 一(えのきはじめ)